大西加那子

ONISHI Kanako

作られすぎた風景
Man-made landscape

プレゼンテーション|段ボール、スタイロフォーム、ウレタンフォーム、粘土、針金、アクリル絵具、水彩絵具
Presentation | Cardboard, styrofoam, urethane foam, clay, wire, acrylic paint, water color
模型|H340 × W2120 × D1900mm、H750 × W300 × D300mm ×2点

作者より

日本における山間ゴルフ場は見方によっては不自然な自然、作られすぎた風景とも捉えられる。しかし私たちはそこに立とうとも、どれだけの山が削られ谷が埋られ作られたのか、実感することはできない。そこで特徴的な9コースを残し、それ以外の場所をかつての地形へと作り戻す操作をした。そうすることによって新旧地形の落差が法面として可視化され、身体的にも視覚的にも地形操作の実際を体験することができる空間となった。

大西加那子

担当教員より

ゴルフ場はスコットランドの緩やかな丘陵風景を強引に日本の急峻な地形に持ち込んできた痕跡であり、この作品はその行為を一種の「風景の死」と捉え、ダークツーリズムの対象として捉えている。開発のためにいかに膨大な山が削られ、谷が埋められてきたのか。作品は閉鎖されたゴルフ場の半分のホールのみを残して、開発以前の自然地形を再現した上でアートパークとして私たちが過去に行ってきた行為をもう一度見直そうと促している。ゴルフ場はピクチャレスクの顔をした、実は近代技術がもたらしたテクノスケープである。この作品は自然と技術、それに対するデザインがすべき意味へと、遠く射程の長い思考へと私たちを誘い出してくれる。

建築学科教授 長谷川浩己