木村令奈

KIMURA Reina

花の色のたくらみ
―発色の仕組みと、送粉者との駆け引きを学ぶ―
scheme of flower colors

本|紙
Book | Paper
H263 × W186mm(106ページ)

作者より

彩り豊かで魅力的な花の色は、植物が生き残るために進化してきた。送粉者となる昆虫や鳥、動物を引きつけて受粉を成功させるだけではなく、有害な紫外線から植物の体を守る役割も果たしている。本書では、植物に詳しくない人にも花の色の仕組みをわかりやすく学んでもらうために、植物の基礎知識、多種多様な色や模様を生み出す色素のメカニズム、送粉者を誘い込むためのテクニックを、化学と植物学の視点から解説している。花の色に潜むしたたかな生存戦略を、見て、読んで学ぶ入門書。

木村令奈

担当教員より

昆虫の「擬態」と同じように花の色にも生き延びるための「たくらみ」があるとは、期せずして今日的な着眼となった。大自然というつづれ織りの中で、ヒトは「ほとんど目に見えない糸くずにすぎない」ことを意識せざる得ない昨今、花、とりわけ美しいその色は見る者に新たな感興を呼び覚ますのである。完成度の高いグラフィック表現が、色素のレベルまで掘り下げた花の色の神秘を直感的によく伝えてくれる。

デザイン情報学科教授 森山明子