辻敬太

TSUJI Keita

枇杷のなる山
The season for loquat to grow

デジタルアニメーション|23分22秒
Digital animation | 23min 22sec

作者より

祖父を亡くして故郷に帰ってきた女の子と、その町に住み続ける男の子が再会し、1日を共に過ごす様子を描いたアニメーション作品。亡くなった祖父のこと、見慣れてしまった景色、その土地にかつて住んでいたであろう人々のことを想いながら、描かれた風景の中を二人は歩いていく。

辻敬太

担当教員より

祖父の葬儀のために郷里に帰省した大学生と、そこにとどまっている従弟の高校生。
人の死に接した直後、雨の降る海辺で二人は再会し、町外の里山をつかのま彷徨する。
死と生を思う幽かな時が漂う。
水と、風と、土。雨と雲に遮られる朦朧の光に、寡黙な言葉が重なる。
人は風土により育まれ、言葉を生む。たそがれ時の里山の重層的な時間が二人を包んでいく。
油絵の技法をデジタル的に昇華させた自然描写、風景のマチエールが秀逸。

映像学科教授 三浦均