渡邉実莉

WATANABE Minori

プレハブの皮膚
Prefabricated skin

インスタレーション|アクリルパイプ、LED、塩ビパイプ、ジェルメディウム、ほか
Installation art | Acrylic pipe, LED, PVC pipe, gel medium, other
サイズ可変

作者より

パンデミックより前から、テクノロジーによる身体感覚の変化は始まっていました。私たちはディスプレイを入り口にして、テクノロジーの光の中で身体を組みなおします。生物としてのなま臭さを忌避した先、カスタマイズされた肉体と喋る世界では、カジュアルな信頼性に基づく膨大なコミュニケーションが日々消費されています。

水が容れ物の形に沿うように、肉体と精神は繋がっています。ならば、肉体を選べるようになった我々の中身もきっと変質します。

電気信号でできた肉体をこの世界に引っ張り出せば、そこで新たな対話が始まるでしょう。その線は肉の繊維であり、その光は変わらず在るはずの思考です。

これは、特異な時代における、私たちの肖像です。

渡邉実莉

担当教員より

渡邉実莉は「パンデミック以前から、オンライン化による肉体の変質が起きていた。肉体が電気信号と溶け合いつつある今、我々の中身は何なのか?」と述べている。1989年、ジョン・ケージによって名古屋市美術館で初演された曲「One3」では、サウンド・フィードバックが起きる寸前、コンサートホールを音響的に増幅することで、我々がテクノロジーを(誤って)使用する方法を問いかけた:「もはや沈黙があるかどうか、世界があるかどうかも確信が持てない」。ケージと同様に渡邉も、我々とテクノロジーとの関係を問いかけ、見る人を上記のようなエッジに立たせる。

映像学科教授 クリストフ・シャルル