姶良壮志

作者より

再開発が予定されている新橋駅東口の地下街は、インフラが開発を進めた結果生まれた都市の残余であり、同時にどのインフラからも等距離にある「通過点」となっている。
ここでは、縮小時代の再開発として立体的な駅前公園を設計した。三角形の敷地を摺鉢状に掘削しその残土を盛り土するという土木的な操作によって、大都市の中に地面という野生を取り戻していく。そこに、乗り換え動線、地下鉄、帯水層といった様々なリズムが発露し、重なっていく。この駅前空間は都市のダイナミズムのあらわれとして汐留の高層ビル群と対峙しながら存在していく。

姶良壮志

担当教員より

JR横須賀線、営団銀座線、都営浅草線によって囲まれた新橋駅地下を対象とした設計提案である。地下の交通インフラによって出来たこの三角形のエリアを地下17mまでをすり鉢状に掘削し、その残土による新たな地形をつくり出すことで、地中の都市インフラを顕在化し、各路線同士の乗り換えを可視化している。大胆な提案であるが、都心における大規模再開発の考え方に一石を投じる力作であり、建築学科奨励賞も受賞した作品である。

建築学科教授　布施茂