奥田涼太郎

OKUDA Ryotaro

海への「おくりもの」
Gift to the sea

プレゼンテーション|スチレンペーパー、チップボール、ジェッソ、PLA樹脂、砂、紙、 ほか
模型|H800 × W3000 × D600mm、H180 × W800 × D800mm

作者より

ダムは水だけでなく河川の働きで運搬される土砂をも堰き止めている。土砂供給が減った河口部の海岸線は減少し、消波ブロックが敷き詰められた風景へと姿を変えた。

天竜川水系にある長野県のダムを敷地とし海へ砂を送り届けるための建築を提案する。建築が作り出す置き土と呼ばれる円錐状の砂山は、ダムの放水による流失と建築による補充を繰り返し、その現象は生活や生業の新たな指標として集落に立ち現れる。

やがてダム直下に作られた建築群の営みは、かつてダムによって失われた70km先の風景を少しずつ取り戻していく。

奥田涼太郎

担当教員より

ダムによって水系に与える問題に着目し、土砂を海に届けるために置き土と呼ばれる手法を用いた建築の提案である。ダムによって堰き止められた土砂は、この建築を介し変換され、70km離れた海岸線の風景を取り戻すと同時に、ダム直下の集落に恩恵をもたらす。壮大なビジョンとその可能性を提示したこの作品は、単なる建築提案ではなく強いストーリー性によって様々な事象において想像力のある秀作であり、建築学科銀賞も受賞した作品である。

建築学科教授 布施茂