加藤美紗

KATO Miisa

溢れる
overflowing

インスタレーション|鉄製ワイヤーメッシュ、PVC製バルーン、水
H2000 × W4500 × D4500mm

作者より

一見するとガラスや氷にも見える物体特有の変形や光の取り込み、景色の歪ませ方を探る。
通常のゴム風船よりも透明度が高く頑丈なPVC製バルーンを使い、自由度の高い水のブロックを作る。
ブロック越しに見ると近くのものは拡大され、遠くのものは上下左右反転されて写る。至近距離の芝生や雨粒、壁の向こう側の鑑賞者、遠くにある武蔵美の校舎や道を行く人々の歪みの違い、さらにブロックの隙間から見える純粋な視界。それらの要素から作品の境界線をぼかしていく。

加藤美紗

担当教員より

本作は、ワイヤーメッシュ製の構造体に、重量4kg程度の水風船約680個がはめ込まれており、水風船も構造の一部として機能している。とろけたガラスのような水風船の佇まい、オプティカルなレンズ効果等、自然の物理現象の魅力を楽しむうちに、周囲の風景に意識が移っていく。老若男女・国籍を問わず、多くの鑑賞者に発見と想像をプレゼントしてくれるだろう。作者の純粋な興味と興奮が素直に建ち上がった美しいパビリオンである。

建築学科准教授 小松宏誠