何承霖

HE Chenglin

スターゲイジー・パイ ─鯨山水─
Stargazy pie: whale landscape

インスタレーション|キャンバス、箔、岩絵具、墨、アクリル絵具、顔料
サイズ可変

作者より

仏教の禅語 「山を見るとき、山に見える。山を見るとき、山に見えない。山を見るとき、やっぱり山に見える。」からヒントを得て、自分の気づきと融合させて、クジラを山のイメージを通して展示作品に表現した。
私が生と死への関心があり、屏風も生と死という二つの状態は同時に存在する可能性を表した。そして、生と死の両方の可能性があるのは胎内だと私は考えている。子どもが生まれる前に、生きているかどうかを判断する唯一の方法は、心臓の音と思う。そして、作家の心臓の音が聴ける子宮のような空間に作品を入れる。そこに入ることで生と死の両方を表現している作品を見て、聴覚、視覚、匂いなど、より豊かに整体的に感じることができる。

何承霖

担当教員より

室内は赤い照明で満たされ、作者の録音された心音が響く。中心にある屏風仕立ての作品には冷たく渦巻く海に白い鯨が、赤黒く熱を帯びた波間からは黒き鯨が山のように屹立し何頭も群れで描かれている。周囲を龍安寺石庭のような白砂の波渦から立体で制作された鯨の頭部が屏風に描かれたそれと同じくまた屹立をし囲む。
描かれた赤い波は母性であり『情』、青い波は父性であり『知性』。赤い室内や海は女性自身や羊水を表し、渦巻く波や白砂、屹立した鯨の群れは男性自身であり精子なのだろう。男と女が想い恋し合う様を愛情という。互いの全面的な自己投棄は純粋な愛であり、結果生命が宿る。ただ生命というものを前にしては男も女もなくただ同一のうちである。彼の作品は人間(生物)にとっての命の拠り所、その根源とは何かについて、我々のルーツの回帰へ果敢に試みたのである。

日本画学科教授 岩田壮平