ペン立てstationery高知麻紙、岩絵具、水干絵具H2500 × W1700mm
自室の机の上、ペン立てにぎゅうぎゅうに詰められた文房具たちを見て「かわいそうだ」と思った。 今はペン立てを二つに増やしている。 清水千穂
清水が描く作品は、一見よく見かけるイラストレーションの様だが、実際の作品は麻紙に描かれた日本画の大作である。現代の様々なメディアでデジタルイメージが氾濫している状況の中で、作者がタブレットからイメージを加工することは、手慣れた自然の作業に違いない。作者が今回挑んだ卒業制作は、描きたいものに留まらずに展示形態までが最終的に求められる中で、手元で手軽に実現してきたイメージを、大作のために拡大印刷ではなく手作業で準備を進めることは、伝統的日本画の技法を踏まえることになったのではなかろうか。モチーフは見慣れた日常の光景を基にオリジナルのキャラクター達がペン立ての中でひしめき合っている場面を描いているが、その技法は全体の構成に始まり完成までの制作の手順を周到に検討しながら進めたに違いない。かつての鏑木清方の作品を思い浮かべても分かる様に、その作品の内容は一つ一つの丁寧な技法に支えられている。丁寧に塗り重ねた色面と線がもたらす効果は、日本画の素材と技法に支えられた新たなポップな表現となっている。 日本画学科教授 間島秀徳
作者より
自室の机の上、ペン立てにぎゅうぎゅうに詰められた文房具たちを見て「かわいそうだ」と思った。
今はペン立てを二つに増やしている。
清水千穂
担当教員より
清水が描く作品は、一見よく見かけるイラストレーションの様だが、実際の作品は麻紙に描かれた日本画の大作である。現代の様々なメディアでデジタルイメージが氾濫している状況の中で、作者がタブレットからイメージを加工することは、手慣れた自然の作業に違いない。作者が今回挑んだ卒業制作は、描きたいものに留まらずに展示形態までが最終的に求められる中で、手元で手軽に実現してきたイメージを、大作のために拡大印刷ではなく手作業で準備を進めることは、伝統的日本画の技法を踏まえることになったのではなかろうか。モチーフは見慣れた日常の光景を基にオリジナルのキャラクター達がペン立ての中でひしめき合っている場面を描いているが、その技法は全体の構成に始まり完成までの制作の手順を周到に検討しながら進めたに違いない。かつての鏑木清方の作品を思い浮かべても分かる様に、その作品の内容は一つ一つの丁寧な技法に支えられている。丁寧に塗り重ねた色面と線がもたらす効果は、日本画の素材と技法に支えられた新たなポップな表現となっている。
日本画学科教授 間島秀徳