児玉京子

KODAMA Kyoko

わたしはあなた、あなたはわたし
for what is you is me

インスタレーション|糸、LEDテープライト、木材
H2930 × W4350 × D2500mm

作者より

黒い糸を天井から吊るした。そこに光を当てて、糸の影を作る。奥の壁にはマーカーで線を描き足した。糸、糸の影、私が描き入れた線。これらの線が交わった瞬間に驚きを感じた。一つ一つの線は似たようなものばかりだが、集まって関わり合うことで空間を織り成している。
線のように、私もいつかは消える平凡な存在だ。それでも今、あなたと作品を通してここで交差している。関わり合えればそれでいい。そうして宇宙は成り立っている。

児玉京子

担当教員より

暗闇に浮かび上がる細長い矩形の窓の向こうに広がる無数の垂線。それらは糸であり、糸の影であり、壁に描かれた線の集合体だ。鑑賞者は明滅する空間に戸惑い、遠近感を失い、呆然としながら作品と対峙することになる。いま観ている「それ」は虚像なのか実像なのか。しかし確かに眼前の「それ」が目を通して身体に入り込み、身体の闇が外へと溢れ出る。それこそが作者の意図した世界観である。「わたし」と「あなた」が混一する瞬間。

基礎デザイン学科教授 板東孝明