真田光

SANADA Hikaru

アテンション・エコノミーへの自分なりの抵抗
My own resistance to the Attention Economy

インスタレーション|合板、土、造花、サーキュレーター
H1820 × W2730 × D455mm

作者より

人々の注意や関心が経済的価値を持ち、いかに注意を奪い合うかということが重要視される現代社会において、自分の注意を自分自身に向け、社会に対して抗うためのきっかけとなる作品を制作した。
アテンション・エコノミーにより、自分の身体は自然の中で生きているのに、意識は別の遠い世界に向けられている状態に違和感を感じてきた。呼吸をし、ご飯を食べ、地面を歩いているが、意識は画面の中に捉われている。人々の意識が遠い別の次元に捉われていることで、まるで別の次元で暮らしているかのような錯覚に陥っている。そのような状態に対し、自分自身が自然の一部であり自然の中で暮らしているということを意識することが、自分の注意を奪われることへの抵抗であると考える。

真田光

担当教員より

本作品は、「枯葉が風に舞う光景」という日常のさりげない一コマを大きく切り出して作品化することで、「日常とは何か」という根本的な問いを鑑賞者に突きつける装置となっている。人々が普段は見過ごしがちな自然の微細な変化を再発見させる試みは、過剰な情報や刺激に支配されがちな現代社会に向けて「スローダウン(減速)」の思考を促す。こうした“ふと立ち止まる”体験は、鑑賞者の間に静かな連帯感と安らぎを生み出す点でも意義深い。

クリエイティブイノベーション学科教授 長谷川敦士