北岡誠吾

Kitaoka Seigo

書物の美はまだか -佐久間貞一の眼差しと美-
The Beauty of the Book, Unarrived-Sakuma Teiichi’s Point of View-

本|紙、布、革
Book|Paper, cloth, leather
H426 × W303mm

作者より

佐久間貞一は、秀英舎(現在の大日本印刷株式会社)の創立者として知られているが、彼は印刷業の他に、製紙業、造本、活字鋳造、出版等、多岐にわたる活動をしている。日本の文脈の中で見ると佐久間貞一はブックデザインの礎を築き上げたとも見て取れる。しかし、私がデザインを勉強していく中で佐久間貞一はそのようには取り上げられて来なかった。そこで私は、この書物の中に、佐久間貞一のものづくりにおける思想、また実際に関わった物事を閉じ込めた。もう一度、日本の文脈の中で書物の美は何かということを問う。

北岡誠吾

担当教員より

佐久間貞一、秀英舎、秀英体をテーマとすることには勇気がいる。なぜなら、そのどれもが既に研究し尽くされたとされているからだ。北岡が佐久間貞一に向けた問いかけはいたってシンプル。佐久間は、なぜ秀英舎を創業し、自ら活字を拾い、板紙を開発し、工場法を唱えたのか……。北岡はその問いを解く鍵が、佐久間の言葉のなかにあることを見出した。テーマであり書名『書物の美はまだか』は、北岡が自分自身に向けた言葉でもあった。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚