三井瑛乃

Mitsui Akino

河童人考察
consideration of kappa-jin


Book
H297 × W420mm H210 × W297mm

作者より

「河童と日本人には、ただならない関係がある。」この仮定から始まり、「河童とは故郷であり、河童人とは故郷を想う者のことである。」この結論に至るまでの考察である。
河童人とは、河童と関係を持つ者のこと。河童人の生い立ち、特に故郷・幼少期の記憶は彼ら自身を構成するのと同時に、彼らを河童人たらしめる重大な要素でもある。作者の三井自身も含め河童人は、河童と故郷に呪縛される、だがそれは存外心地の良いものだ。

三井瑛乃

担当教員より

三井さんは幼い頃から河童に興味を持ち、本制作においてまず日本文化史に登場する河童の調査から始めた。そこには彼女のいうところの「河童人」なる人々が沢山いたのだ。今回彼女が描いたのはその一部、小川芋銭、柳田國男、芥川龍之介、水木しげるらであり、彼女自身も自らが河童人であることを覚醒するに至っている。彼女は今回、河童そのものを描かずに「河童人考察」と彼らが河童人となったエピソードを絵本にした2冊の書物を作った。彼女の調査力、編集力、想像力、表現力が凝縮された楽しい本である。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策