守本悠一郎

Morimoto Yuichiro

スカーフチェア
SCARF CHAIR

ビニール
Vinyl
H800 × W600 × D650mm(組立前:H900 × W1600mm)×5点

作者より

世の中にはたくさんのイスがある。見た目の美しさを追求したイスや、座り心地を極めたイス。しかし、このイスはそれらのイスとはちょっと違う。このイスは、1枚の平面が立体になることで完成する。つまり「作り方」に新しさがあるイスだ。
欠けた半円のような形の平面に1本のカットを施し、五角形を切り抜く。その五角形が座面となり、切り抜かれた残りの円をくるりと巻くと土台になる。
そのような仕組みでイスを作ったら、必然的にこのカタチになった。平面から生まれた軽やかなこのイスを「スカーフチェア」と呼ぶことにした。

守本悠一郎

担当教員より

椅子はこれまでも数え切れないほどのデザインが生み出された対象だが、守本は平面から立体を立ち上げる「変形」というアイデアを制作の軸とし独創的な構成を探りあてた。素材の張力と形の張りが構造の要であり、ビニール素材はそれを明示するのにも適切だ。エッジに溜まった素材の色がアウトラインの美しさを際立たせ透明という存在感を放っている。平らな時のカタチと椅子になった状態の二つの美しさを併せ持った作品である。

基礎デザイン学科教授 柴田文江