吉田大成

Yoshida Taisei

明朝体「はくれい」の制作
Mincho style typeface “Hakurei”

タイプフェイスデザイン|本|紙
Typeface design|Book|Paper
H280 × W250mm、H180 × W125mm

作者より

「はくれい」は情緒的な言葉や文章を組むことを想定した明朝体である。岡倉天心『茶の本』(訳:村岡博)第六章「花」の文中の「日本の花は散る時さえも誇らしく、はかなく美しい」という表現から着想を得た。日本の文字が持つ筆の質感や、しなやかな曲線を生かしたエレメントで制作した。
文章の中には様々な書き手の思いが介在し、その言葉を伝えたいイメージに近い形で読み手に伝えるのがフォントの役目の一つである。言葉に添えられた「はくれい」とともに物語に没頭してもらえたら嬉しい。

吉田大成

担当教員より

本文書体をつくること、それはタイポグラフィへの敬意と膨大な作業量、そしてなによりも気の遠くなるような一貫した緻密な制作時間をともなう。グラフィックデザインがアプリケーションづくりだとすると、その根幹、OS(オペレーションシステム)を生成・構築することに近い。吉田君はこのタイポグラフィの本質に迫る大テーマに真正面から取り組み、ひらがな、片仮名、漢字、なんと5500字にものぼる、そこはかとない流麗な明朝書体とそのファミリー展開を見事に描きあげたのだった。

基礎デザイン学科教授 板東孝明