関口朋夏

Sekiguchi Tomoka

gift

ガラス、真鍮|キルンワーク、バーナーワーク
Glass, brass | Kiln working, burner working
H40 × W65 × D45mm ほか、複数点

作者より

私にとって花を贈ることは特別なことでした。
用途のあるわけではない花は、気持ちそのもののような気がして。
これまで照れくさくて渡せなかった花たちを
今、私ができることで「贈り物」のかたちにしました。

関口朋夏

担当教員より

贈り物とは、何か出来事があった際に贈る特別なものを指す。
相手に対して共感や励まし、告白やお礼などの気持ちを込めて贈られる。
この作品は粘土で花びらの原型を耐火石膏で型取り、ガラスを詰めて電気炉で溶解するキャステイングと言う鋳造技法が用いられている。そこに真鍮の針金を仕込むと一体化し複数制作して、ネックレスや髪留めなどに仕上げている。特に花びらに関しては、鋳造後カット技法を加えて薄くけずり出したり、細かい筋を付けて花びらが持つ繊細な表情を出すことに成功している。
関口氏の過去の記憶の中で、花束を相手に贈ろうとしたが、贈れなかったことが何度かあり、その理由は、「花」が「心」そのもののように思えての「恥じらい」から来ると言う。
「照れくさい」「自信がない」自分の中に、贈りたかった気持ちがいくつも残された。
それらの残された気持ちを具現化し昇華させた作品群は、当時言えなかった気持ちを美しく代弁している。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二