大利光輝

Ohtoshi Koki

八月六日、東京
August6,Tokyo

グラフィックデザイン|紙-DEEP PV モデラトーンアイス186g、紙-アラベール-FSホワイト110kg、ホットボンド赤|青焼き印刷、インクジェットプリント
Graphic design | Paper-DEEP PV Moderate tone ice 186g, Paper-Arabelle-FS White 110kg, hot bond red | Blue printing, ink-jet printing
H3300 × W7700 × D1500mm

本|ホットボンド、紙|シルクスクリーン、インクジェットプリント
Book | Hot bond, paper | Silkscreen painting, ink-jet printing
H420 × W297 × D15mm

作者より

上京して感じた、東京と広島での8月6日に対する思い入れのギャップをきっかけにして、自身のフィルターを通し明らかになっていくヒロシマを、それぞれ34枚のポスターへと展開した。また、今作完成に至るまでの思考の軌跡を1冊の本にまとめ公開する事で、ヒロシマの問題の難しさや、被曝3世の自身の葛藤の様を感じ取り、少しでも主体的にヒロシマに向き合ってもらいたいと願い制作した。

大利光輝

担当教員より

作者が上京した当時、8月6日8時15分に誰一人として黙祷を捧げないその光景が強烈に印象に残ったという。そこで生じた違和感は彼の制作動機において決定的なものだった。このことを1年を通して徹底的に向き合い、意味と形の関係を探る膨大なドローイングを重ねていった。完成した30点強のポスター群は、極めて難解なテーマが「地と図」「視覚の補完性」「反復」という視覚言語に置き換えられ、強いメッセージを発している。そして制作における葛藤を綴ったドキュメントブックは、それ自体が「ヒロシマ」を伝えることの困難さを問いかけている。とことん自身の問いに誠実であり続けたその制作態度が、本作のメッセージの強さを裏付けている。

視覚伝達デザイン学科准教授 中野豪雄