チン イネイ

CHEN Yining

The Age of Tomorrow

インクジェットプリント
各H762 × W609mm ×3点、各H508 × W406mm ×11点、各H355 × W279mm ×5点

作者より

私はよく未来を幻想する。
私たちはまだ地球で暮らしているだろうか。
人間は人工知能に取って代わられてしまったのか。
既知の情報で未来について検索してみたい。
私は千年前の国際化「大都市」を見に行ってきました。賑やかだった貿易港も徐々に静かになり、役目を終えた町々は徐々に人々に忘れ去られていった。
網の目の世界に巻き込まれた私たちと、自分の暮らしている都市との繋がりが弱くなってしまい、人々はネットで勉強し、仕事し、社交活動し、ショッピングしてひいては旅行までした。未来においては、街へ出歩く必要がなくなり、公共施設は使用されなくなり、街も徐々に衰えていくだろう。
千年以前の国際化「大都市」の過去を見届けることは不可能だが、人々に忘れ去られていく今、現在をカメラで記録することは出来る。パラレルワールドが本当に存在するのなら、私が記録したこれらの画像もまた、私たちの未来の世界ではないだろうか。

チン イネイ

担当教員より

作者は、母国である中国各地や日本の長崎などを旅しながら、その土地に纏わる目に見えない「境界」をテーマに、2年の歳月を費やして撮影を続けてきた。中判デジタルカメラの緻密な描写力を活かし、越境者としての立ち位置を保ちながら、風景や人々をニュートラルな視点で捉えており、結果として被写体の裏側にある歴史や神話といった不可視の領域を浮上させることに成功している。

映像学科教授 小林のりお