リン ゲイダン

LING YiDan

天の川の境に堕ちる

インスタレーション|スクリーン、プロジェクター、ブライトサイン、ほか
サイズ可変
映像|15分10秒

作者より

遥か星、まだ生きているものなのか、簡単に目で判断できない。
真実の存在も、ただ単に言葉で表現するのは困難である。
目に映す幻と、頭に浮かび上がり、断片的な記憶。
多分、それがすべての私ではないだろうか。
光の中で漂い動いている煙と氷を撮影し、制作したのが本作である。
素材本来の物理的な特性に応じて被写体である煙、氷と光のインタラクティブな動きから、形態の新たな可能性を探し出すことである。
自ら見つけた秩序を利用し、撮った素材を絵の具に扱っていく。真実と幻の行き来で世界を描いていく。

リン ゲイダン

担当教員より

小さな部屋から生まれた壮大な映像空間。
加湿器から噴き出る水煙を撮影し続け、その映像を観察し続け、そして、それを素材に水墨画のように描き続けた。作者の作業は墨ではなく煙を画材に、紙ではなく黒い闇に、滲みとは違う「動き」という時間を追い求めた作業である。煙だけでなく、光を映し込んだ氷の表現にも注目して欲しい。この喩えようのない映像の世界、その空間。まさしく映像が自然と対等でありえることを示してくれた。

映像学科教授 篠原規行