赤堀映瑠

AKAHORI Eru

博士を応用した音楽の可視化
Music visualization applying HAKASE

液晶ディスプレイ、プロジェクタ、紙|プログラミング
LCD, projector, paper | Programming
映像|37分10秒
本|H257 × W182mm(94ページ)

作者より

仏教音楽における声明(僧侶による声楽)の楽譜である博士の音階表記法を応用し、自動記譜装置《Hans2021》(HAKASE for automatic notation system 2021)を制作した。博士の特長は視覚的な明快さにある。例えば旋律の微かな動きを記譜する場合、五線譜では変化記号を多用する必要があるが、博士では墨線の揺らぎのみで表記することができる。本作では博士に自動記譜の機能を加え、五線譜では表記しきれない旋律の動きを視覚的に、且つ体系的に描くことを試みた。

赤堀映瑠

担当教員より

赤堀は声明の記譜法である「博士(はかせ)」に出会い、それが今日使われている五線譜では記述しきれない音の揺らぎを可視化する可能性を発見した。彼女は、本制作にあたり博士のみならず電子音楽譜のパイオニアであるクセナキスのUPIC、今日の先端音楽状況などを広く参照し、その上で自分の記譜法の意義を位置付けている。本作では目安博士をベースとし音の高さ、旋律、強弱をリアルタイムで視覚変換するアプリケーションである。これにより様々な楽器、声、自然音が独自の方法で視覚化され、また別の音での再現も可能である。歴史に学びながら今にしかできない新しい表現に挑戦した素晴らしい試みである。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策