佐藤梨夏

作者より

ここは子供だけが暮らす閉鎖された団地。主人公のヒナタはある夏の日、好奇心から友達のアオイと共に敷地の外へ飛び出すが——。
本作は、少年二人がそれぞれの大切なものに手を伸ばす姿を描いたアニメーション作品。ストーリーが展開するにつれて真相が明らかになった時、彼らが何を思うのか想像を巡らせてもらえたなら幸いだ。

佐藤梨夏

担当教員より

ストーリーをここで書くのは控えるが、このアニメーションは不思議な団地に暮らす二人の少年の物語だ。彼らがいる場所は物語の進行とともに徐々に明らかになる。それは彼岸（地獄）と此岸（現世）とを往還する物語構造を持ち、さらに魂の転生までをも予感させる静かなドラマである。彼女は語っている。これは「耐え難き理不尽な状況に生きている人、そしてかつての幼き自分」に向けた美しい風景とともに贈る物語であると。彼女の突出した作画能力と優れた物語構成力が相まって心を打つ愛と死の物語となった。

視覚伝達デザイン学科教授　寺山祐策