柳汐莉

YANAGI Shiori

(not) your family.

インスタレーション|プリンタ、A4コピー紙、キャスター、木材
サイズ可変(プリンタ稼働時間 約13分00秒を含む)

作者より

私の家族を対象にインタビューを重ねて感じたのは、私の家族はお互いの事をあまりよく知らないまま生活していて、自分が思っているよりも家族は「他者」ということである。
私の家族の何気無い日常会話を文字に書き起こし、フレーズや物の名前などの要素を通して、鑑賞者自身の家族の人物像をイメージとして感じ取ってもらうことを目指した。

3台のプリンターは私の家族の内3人の会話として成り立っている。
プリンターの揺れは会話している時の身振り手振りを表している。

私の家族は世の中に数多存在する家族のほんの一例にしか過ぎないが、それでも家族を想うきっかけとなれば嬉しい。

柳汐莉

担当教員より

自らの経験を土台にして、同じ「家」で生活を共にする「家族」という共同体のイメージを問い直し、メトニミー(換喩)の比喩表現によって、「家族」の意味を前景化する試みである。「家」という空間的な近接性を捨象し、日常会話の「言葉」を紡ぐ行為とプロセスを機械的な手続きに置き換え、問題をリフレーミングする手法は秀逸である。綿密な調査に基づいて、目の前で送り出される話者のセリフの連動性、余韻の再現性が高められており、自らの問いと向き合い、表現を追求する姿勢を高く評価したい。

芸術文化学科准教授 佐々木一晋