霧生笙吾

作者より

意識を肉体から解放することが可能となった近未来。
宇宙飛行士になることを諦め、地球で働く与田慶次は精神的に不安定な妻、静と二人で暮らしていた。
ある日慶次は仕事の同僚に新たな宇宙開発の噂を聞き、静は意識のみの存在に憧れるようになる。
意識は時間と空間を旅し、世代を超え繋がっていく。

霧生笙吾

担当教員より

未来の管理社会に生きる人間たちは精神的苦痛を逃れてトリップ（浮遊）し、更に自身の肉体から意識を解放（意識化）することを願った。
非優勢児として子を奪われ、夫は妻を連れ、意識の集合体を宇宙に放つプロジェクトの飛行士に志願する…。世代を超え時空を彷徨い続ける孤独な魂たちの、悪夢の様な果てしない旅。「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」を彷彿とさせるスピリチュアルな独自の世界観を、見立ての手法で見事に実現した。

映像学科教授　小口詩子