小山美有奈

KOYAMA Miyuna

書の味わい
Taste of book

紙、真空パック
本|[最小]H120 × W80 × D25mm 〜[最大]H235 × W100 × D9mm(14点)

作者より

私は14種の個性ある魚たちを観察し、それぞれを装丁の要素として取り入れ制作した。ここでの「書」とは書籍を指している。
魚は第一印象を見た人に強く残しつつ実際はその中身を味わう。その過程は書のデザインと類似している。書も初見の印象は表紙によって決まるが、知識として蓄積されるのはその中身だ。この関係性を落とし込んだ装丁デザインを実際に手に取り、食べ物の味と装丁デザインの味、両方を感じてもらいたい。

小山美有奈

担当教員より

包装された切り身やお鮨のネタは、現代において記号化された魚の一様態かもしれない。様々な種類の魚の形態、皮や身の色や手触り、血合い、匂いや味は、日々の食材として記憶に蓄積される情報である。本作品は、それらの記号を本の装丁に擬態させたらどうなるか、という試みである。ぬめりのあるヒラメ、どす黒い血合いの荒々しい表情のカツオ、白さの際立つイカ、銀色にきらめく細長いサンマなど、見た目だけではなくそれぞれの装丁のテクスチャから体感できる。本と魚の驚くべき親和性が見事に示されていることに驚く。

基礎デザイン学科教授 板東孝明