宮田光

MIYATA Hikaru

Biophilic Blues

プリント合板、糸、藍染め、液晶ディスプレイ
立体|各H1800 × W300 × D16mm(8点)
映像|3分36秒

作者より

その青に魅了されたのは、藍染めを体験した時のことである。最初は茶色を含んだ深緑、それからエメラルドグリーンに光り輝き始めて、徐々に青く染まる。その色の変化の過程に垣間見た、強烈な生命感、自然の神秘。
制作では、海と空の抽象的な風景を表現し、言語化することが難しい自然の色の美しさを伝えようと試みた。 先染めした絹や麻などの糸を、板に均一に巻き付けていくことを繰り返す。縦の糸は空を、横の糸は海を想起させる。この作品が、藍染め本来の魅力に気づくきっかけとなれば幸いである。

宮田光

担当教員より

藍との出逢いの感動から宮田の研究は始まった。それまでの藍は布を染める染料としてのものだが、彼女の興味の対象は純粋にその青い色だ。地球を形づくる青色が全て凝縮したような藍の力を伝えるため、糸を染め無数の青の表情を重ねた。染料の藍と糸の素性が織りなす奥行きのあるグラデーションによって無限の水平が立ち上がった。染めのプロセスを映した動画からは、生き生きと色が生まれる様子も感じることができる。凄まじく緻密な表現によって、既知の藍が瑞々しい青として表現された秀作である。

基礎デザイン学科教授 柴田文江