諸江一桜

MOROE kazusa

脱獄計画
jailbreak plan

プレゼンテーション|木、スタイロフォーム、銅板、アクリル板、ジェッソ
模型|H1200 × W1000 × D1000mm、H1400 × W1200 × D1000mm
パネル|H2000 × W2000mm

作者より

本設計は、監視空間の関係性を操作し、被監視者が監視者を「見返す」ことで主体性を取り戻す可能性を探る。設計対象は、覗き魔・池田亀太郎のための「見世物小屋」と、『カッコウの巣の上で』のラチェッド婦長のための「監視小屋」の2空間。見世物小屋では光の反転により視線の方向を変え、監視小屋では結露を用いて監視関係を揺るがす。これらを通じ、囚人・看守・面会者の三者関係を再考し、監視社会における視線の主体性を問う設計を提案する。

諸江一桜

担当教員より

支配と服従の関係性を相対化する行為を「脱獄」と定義し、面会者という第三者が起こすアクションによって監視する者と監視される者の関係が逆転する空間を設計している。「常に監視されている空間と、そこから逃れること」という主題は、自らの経験から出発しながら現代社会批評に繋がる。光の制御で明暗が反転する「見世物小屋」、扉の開閉で結露が消える「監視小屋」は、ともに自然現象を最大化する理性と強いパッションを感じる。

建築学科教授 高橋晶子