相ヶ瀬広大

AIGASE Kohta

FRONT

インクジェットペーパー、アルミ額
H1500 × W2000mm

作者より

これらのイメージは、カメラを持つ誰もが撮影できます。

日本語では「真が写る」と書いて「写真」と呼ばれていますが、
“Photography”という言葉はギリシャ語に由来し、
「描く」「書く」「記録する」といった意味を持っています。
かつて写真が「光画」と呼ばれていたように、光を用いた画なのです。

機械の眼を使って、目の前にある造形や降り注ぐ光を観測する。

カメラという単眼の眼を通して世界を捉え直したとき、
私たちはどのような視座を獲得できるのでしょうか?

相ヶ瀬広大

担当教員より

写真に写るのはどこなのか?日本じゃないと言われてもそう思ってしまうくらい無国籍な風景だ。さらにどんな場所かと問われても分からない。まだ名付けられていない風景とも言える。さらに、「FRONT(正面)」というタイトルを見ても、何の正面か、どこが正面なのか分からない。普通は写真を撮っている方向が正面なんだろうと思ってしまうし、そう思わせてしまうのが写真の力だ。ところで、正面とは?という根本的な問いも浮かんでくる。そして、撮影場所を知ると、そこが日本貿易の最前線(Front )であることにも気づく。あまり情報量の多い写真ではないが、そこから様々なことを考えさせられる実は示唆に富んだ力強い写真作品である。

映像学科教授 菅沼比呂志