長濵千恵

NAGAHAMA Chie

prison break

インスタレーション|垂木、パネル、新聞紙、ボンド、ビス
映像|5分30秒
立体|H1300 × W1800 × D1100mm

作者より

映画『アルカトラズからの脱出』(1979)をきっかけに、脱獄における創意に着目して制作した。

当初は、脱獄のある一場面を模倣しているつもりだったが、その場面は実際には存在しなかった。それは、私の内部で補填されたイメージだった。

脱出とイメージを現実へ引き寄せるための緊張と身体の反芻はよく似ている。

長濵千恵

担当教員より

脱獄映画の名作の一つである、クリント・イーストウッドが主演を務めた映画『アルカトラズからの脱出』(1979)は脱獄不可能といわれたアルカトラズ連邦刑務所からフランク・モリスがスプーン等で壁を掘り脱獄した実話を元につくられた映画である。長濱の卒業制作作品はその映画のオマージュといえるだろう。
彼女の制作した5分30秒の映像は映画の一場面を再現しているようにも見えるが、実際にはその場面は存在しない。彼女が補填したスプーンで脱出するための通気口を広げる動画は光学的再露光を用いて、一つの画面に重ねたモノクロ映像として壁面に投影された。
それは元の映画をアプリプリエイトすることで、イメージの世界を現実世界に引き寄せ、物心共に不自由な状態から、自由への希求を表現しているようである。
とはいえ自由を求めることは現状から逃亡することでもあり、それは常に危険を伴う行為でもある。多重露光で繰り返し掘る行為が反復される映像は自由への祈りにも似た姿を表出している。

*長濱は撮影のためにセットで脱出のための穴を制作した。その穴から放たれた映像は希望の光を示唆しているようである。

油絵学科教授 丸山直文