草むらautumn grasses陶土、化粧土、ろくろ成型、象嵌Potter’s clay, engobe, shaping using potter’s wheel, slip inlayH230 × W230 × D150mm × 6点
おととしの秋、実家のある八ヶ岳へ久しぶりに帰ったとき目にした草むらがずっと心に残っている 枯れ草とまだ瑞々しい草花が混ざり合い重なって、夕方の冷たい空気の中で西日に照らされて輝いていた 春のやわらかさや夏の盛りとは違う、円熟したようないのちの雰囲気が、なんだかとても胸に迫ってきて、ドキドキした きっとずっと傍にあったのに、毎日そこで暮らしていたときには見えていなかった この作品は、素朴なだけではなくどこか妖艶で神秘的な雰囲気もある草花の重なりと奥行きを、“象嵌”という大好きな技法で、なんとか表現したいと思いながら制作した、私が見た草むらの記憶の、記録です。 濵田綾音
土の色を生かした落ち着いた色調でまとめられたうつわ、 風に揺られ重なり合うように器を囲い込む美しい草紋様、 身近な自然への憧憬やありふれた雑草への優しい眼差しは、作者の故郷、信州の原風景がもとになっている。 本体はろくろ成形を基本に作られ、文様は小口の異なる木棒で一つ一つ印刻し象嵌によって表現されている。 伝統の技術を用いながら、たゆまない研究の蓄積をオリジナリティーのある表現技法へと発展させたことが評価された。 いったい作者はこの作品をいくつ作ったのだろうか? 20個30個、それ以上かもしれない。 素材と向き合った濃密な時間がここにある。穏やかだが、エネルギーに満ちた作品である。 工芸工業デザイン学科教授 西川聡
作者より
おととしの秋、実家のある八ヶ岳へ久しぶりに帰ったとき目にした草むらがずっと心に残っている
枯れ草とまだ瑞々しい草花が混ざり合い重なって、夕方の冷たい空気の中で西日に照らされて輝いていた
春のやわらかさや夏の盛りとは違う、円熟したようないのちの雰囲気が、なんだかとても胸に迫ってきて、ドキドキした
きっとずっと傍にあったのに、毎日そこで暮らしていたときには見えていなかった
この作品は、素朴なだけではなくどこか妖艶で神秘的な雰囲気もある草花の重なりと奥行きを、“象嵌”という大好きな技法で、なんとか表現したいと思いながら制作した、私が見た草むらの記憶の、記録です。
濵田綾音
担当教員より
土の色を生かした落ち着いた色調でまとめられたうつわ、
風に揺られ重なり合うように器を囲い込む美しい草紋様、
身近な自然への憧憬やありふれた雑草への優しい眼差しは、作者の故郷、信州の原風景がもとになっている。
本体はろくろ成形を基本に作られ、文様は小口の異なる木棒で一つ一つ印刻し象嵌によって表現されている。
伝統の技術を用いながら、たゆまない研究の蓄積をオリジナリティーのある表現技法へと発展させたことが評価された。
いったい作者はこの作品をいくつ作ったのだろうか? 20個30個、それ以上かもしれない。
素材と向き合った濃密な時間がここにある。穏やかだが、エネルギーに満ちた作品である。
工芸工業デザイン学科教授 西川聡