丸山太央

Maruyama Tao

理想の書物が生まれるまで ―恩地孝四郎と出版創作―
Until an ideal book is born —Koshiro Onchi and a public creation—

年表、本|紙
Chronology, book|Paper
H1456 × W4120mm、H297 × W210mm

作者より

現在、「日本に於ける抽象絵画の先駆者」として恩地孝四郎は広く世に知られている。
しかしその一方で、装幀家、作曲家、舞台美術家、詩人という顔を持っていたことは余り知られていない。そこで私は様々な分野で才能を発揮した恩地の作品に関する資料を、収集し、分類し、俯瞰した。そこから見えてきたのは「出版創作」という名の作品群であった。恩地孝四郎が追い求めた理想の書物はいかにして生まれたのか。年表を通してその全貌を解き明かしていく。

丸山太央

担当教員より

「日本の抽象絵画の先駆」として評価されている恩地が、一方で装幀・作曲・舞台美術・詩人・編集出版を含む総合的造形家としての評価が低いのは何故か、というのが彼の制作動機だ。まず彼はこの作家の資料を、地道に収集・分類・比較し、全体像を俯瞰する年表をデザインした。年表は一見地味だが、情報の可視化と編集には不可欠の創造的な作業である。その中で彼は恩地の仕事群において「出版創作」が最も重要な軸であるという結論に至り、蛇腹状の本を編集・制作した。彼のデザインに対する誠実・真摯な態度は特筆に値する。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策