平子暖

Hirako Dan

でかい
Big

キャンバス、油絵具、鉛筆
Canvas, oil paint, pencil
H1818 × W2273mm

でかい
Big

キャンバス、油絵具
Canvas, oil paint
H1818 × W2273mm

スカート
Skirt

キャンバス、油絵具、鉛筆
Canvas, oil paint, pencil
H1350 × W3340mm

作者より

今、自分は何をしている?
本当にやりたいことは何なのか?
今目に見えているものは真実か?
何がどう見えている?
これは一体何なのか?
無限に続く押し問答。
曖昧で不確かな感覚世界。
相対化させていく出来事の中で、
絶対的な実感を抉り出す。

そいつを確かに自覚して、
高らかに心躍らせて、
強固な興奮を覚えたのなら、
圧倒的な存在感を以ってして、
感覚の声を聴きながら、
徹頭徹尾奔放に、
傲慢とさえ言える程までに、
囲まれた矩形の中で、
暴れ倒すだけ。

平子暖

担当教員より

平子暖が描く、風景をもとにしたペインティングはどれも抽象的で、画面下方の地平線によってかろうじて風景だと感じられる。画面のほとんどを占める空は、覆いかぶさるようにじんわりと大地に迫ってきて、静けさの中にとてつもなく大きな力を感じる。
当初、平子は本やネットで集めた風景をもとに制作していた。しかしその方法では何かが欠如していると感じ、実際に現場でドローイングをするようになった。それは単に見た風景の再現ではなく、現場での実感を絵に定着させたいという思いからだった。
瑞々しさを感じるドローイングに対して、それをもとにアトリエで制作するペインティングは、形の捉え方がやや観念的で強引な印象は否めない。しかし、形を抽象化し画面をシンプルにすることで、筆触による画面の密度が際立ち、平子独自の表現になろうとしてもいる。両者のバランスをどう解決していくのかが今後の課題だと思うが、小さくまとめるのではなく、平子の絵に内在する静謐さと力強さをさらに磨きあげてほしい。

油絵学科教授 小林孝亘