菅野楓大

KANNO Futa

聞煙―香の構造と形状による煙の変化の研究
mon en


peak


silk


cloud


hollow


scale

たぶ粉、PLA、ディスプレイ、プレス成形、3Dプリント
本体|H40 × W30 × D30mm、H60 × W20 × D20mm、H56 × W50 × D50mm、H50 × W20 × D20mm、H58.8 × W48.5 × D48.5mm
型|H75 × W70 × D70mm、H100 × W70 × D70mm、H90 × W80 × D80mm、H80 × W50 × D50mm、H80 × W80 × D80mm
映像|1分30秒

作者より

「聞煙」は香の形状と構造によって変わる煙の表情の研究である。香の形状と構造を変化させて試作を繰り返し、観測した煙を形によって分類し、再現条件が確認できたものを、実際に製品化する際に必要になる型の構造まで合わせて考え、制作した。
従来の香は香りのみに価値を置いたものが多く、形状の種類や生まれる煙などの香を構成する他の要素に目を向けたものは非常に少ない。しかし、お香はその素材の特性から形状の自由度が非常に高く、成形時に構造を変化させることで、生まれる煙に独特な表情を加えることができる。
そのような性質を利用し、「香の煙を楽しむ」という新しい視覚的な体験価値を生み出すことで、他の行為の介在しない、香りと煙との対話を楽しんでもらいたい。

菅野楓大

担当教員より

お香の煙という、人が意識的にコントロールすることが難しい現象をデザインに取り入れるという新しいアプローチを評価します。菅野君は、数多くの実験を通じて煙の多様な表情を観察しました。そして、香が燃えることで発生する微細な気流の変化、香の形状、そして燃やす位置の違いが煙の形と動きに与える影響に気づきました。これらの綿密な取り組みにより、五つの異なる特徴を持つ煙を演出する香をデザインしました。香の生産性にも配慮してデザインされている点も高く評価します。煙の表情を眺めることで、リラックスした豊かな時間を創出する、素晴らしいプロダクトだと感じます。

工芸工業デザイン学科教授 田中桂太