畔上陽一

AZEGAMI Yoichi

cosmo-typesetting automaton

インスタレーション|コンピュータプログラム
映像|リアルタイム生成
本|H210 × W148 × D70mm(4冊)
ポスター|H1000 × W680mm(4枚)

作者より

画面上に浮遊するピクセルの粒子が、互いに接触・結合し、文字のかたちへと成長する。形成された文字はさらに結合を繰り返し、語や文といった構造を階層的に構築する。文字の配置を数値によって制御するタイポグラフィの原理と、結晶のように自律的に秩序が立ち上がる自己組織化のシステムとを交差させることで、まだ意味を持たない未分化なかたちが言語へ接近するプロセスを描いた。演算によって生じたすべての瞬間を紙に転写し、積層させ、厚みを持った本として綴じた。

畔上陽一

担当教員より

画面を浮遊する微粒子が衝突し、自律に結晶化し「言語的なるもの」へとメタモルフォーズしていくさま、それは宇宙の塵がいつしか結集し、星を形成することに似ている。あるいは、天空のあまたの星々は、人類が生み出した言語と何かしら因果関係があるのかもしれないという壮大な仮説を想起させてくれる。「無意味な断片が意味の方向へと揺らぐ過程」と作者が言及する世界観には、プログラムという数値化された人工環境において、自然の定義を更新させるまなざしがある。作者の直観が見事に視覚化された作品である。

基礎デザイン学科教授 板東孝明