夢中のひとThe Phantom of Dreams
インスタレーション|石粉粘土、木、ポリオレフィン合成パルプ、モーターH660 × W1900 × D1220mm
ひとの夢をみる原始的で永遠の性質。実態のない夢のイメージを、目が覚めてもなお、誰もが所有し続けることの不可思議。夢中では、過ぎたはずの時間がまだ運動を続けている。主観でしか見ることのできない夢に、ひとの普遍的な問題が潜んでいる。それはきっと眠りの中だけの問題ではない。掴もうとすれば消えてしまいそうな夢想の共通項を、触れられるかたちの中で発見していきたいと思った。私は人の顔を媒介として、マテリアル研究をするように手探りに、夢をかたちに定着させることを試みた。 山本千花子
夢は見るものだが、いざ作ろうとすると難しい。それはなぜか。夢が掴みどころのない曖昧な成分でできているからだろう。断片的な記憶だったり、全体像が掴めなかったり、途中で途切れたりと、いつも不完全である。一灯のあかりが展示台を照らし、その上で浮遊したり、微動したり、影を落とす人物の像をただ見つめてみる。目の前にあるのは物質化した夢の概念だ。もしかしたら私もこの人と夢の中で会ったことがあるかもしれない。不思議な人物たちをぼうっと眺めながら、そんなことを考えた。 基礎デザイン学科准教授 三澤遥
作者より
ひとの夢をみる原始的で永遠の性質。実態のない夢のイメージを、目が覚めてもなお、誰もが所有し続けることの不可思議。夢中では、過ぎたはずの時間がまだ運動を続けている。主観でしか見ることのできない夢に、ひとの普遍的な問題が潜んでいる。それはきっと眠りの中だけの問題ではない。掴もうとすれば消えてしまいそうな夢想の共通項を、触れられるかたちの中で発見していきたいと思った。私は人の顔を媒介として、マテリアル研究をするように手探りに、夢をかたちに定着させることを試みた。
山本千花子
担当教員より
夢は見るものだが、いざ作ろうとすると難しい。それはなぜか。夢が掴みどころのない曖昧な成分でできているからだろう。断片的な記憶だったり、全体像が掴めなかったり、途中で途切れたりと、いつも不完全である。一灯のあかりが展示台を照らし、その上で浮遊したり、微動したり、影を落とす人物の像をただ見つめてみる。目の前にあるのは物質化した夢の概念だ。もしかしたら私もこの人と夢の中で会ったことがあるかもしれない。不思議な人物たちをぼうっと眺めながら、そんなことを考えた。
基礎デザイン学科准教授 三澤遥