菊村龍之介

KIKUMURA Ryunosuke

かた/ちの心象風景
Imagined scenery of “shape/fluctuation”

インスタレーション|純白ロール紙
H2660 × W7970mm

作者より

頭の上に浮かぶイメージに身を任せ、線を引き続けていくと、宇宙地図が出来上がった。かたちの大陸は、天地左右前後に広がり続け、同時多発的にあちらこちらで橋が架かる。私にとってデザインや芸術とは、言葉を超える為にある。本来はもっと自由で、粘土をこねこねするようにしていくことで気づけるものなのではあるまいか。以上が、向井周太郎の<デザイン学>に潜って得た私の答えである。言葉にされることで見過ごされる「かたち」を想い起こさせよ!

菊村龍之介

担当教員より

哲学者や詩人は、言葉によって物事の真理を探究し、その発見の感動を詠いあげる。デザイナーは言葉をタイポグラフィに、思索をイラストレーションを媒介にして外界へと表出する。古代ギリシャのアリストテレスは、創造をポイエーシスと呼んだが、本作品はまさに「デザインの詩」そのものではないか。基礎デザイン学科を創設した向井周太郎の詩学に感銘を受け、その哲学にインスパイアされた、作者の身体から紡ぎ出されたヴィジュアル・アブダクション(視覚的仮説形成)であり、鮮烈な魂のほとばしりなのである。

基礎デザイン学科教授 板東孝明