山本亜由夢

Yamamoto Ayumu

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キャンヴァス、油絵具、アクリル絵具
Canvas, oil paint, acrylic paint
H1970 × W2910mm

room of ours

キャンヴァス、油絵具、アクリル絵具
Canvas, oil paint, acrylic paint
H2050 × W1450mm

作者より

何枚も絵を描いていると、無意識で共通するものやことがでてきて、それらを今度は意識して描くと自分のなかで定着してくる。画面上でも無意識の調子をなんとかコントロールしようとしたり、意図的な形を偶然の筆致が崩したり、反したものを行き来する。その応酬が絵を未知の領域に踏み込ませると盲信しながら描いている。

山本亜由夢

担当教員より

絵の前に立つと、まず緑色が目に留まる。それから、点在する赤や黄色に移り、画面全体に勢いよく走る筆触によって、視線は上下左右、手前、奥へと揺らぎながら漂っていく。その筆さばきは、形を定着させようとしているようにも、筆を動かすうちに立ち上がってきた形を打ち消そうとしているようにも見える。
「人が一人だと象徴的になりすぎるが、二人以上だと人の存在の強さが弱まり、背景と溶け込みやすくなる。また人と人との関係性を描く必要が出てくると、人と背景の関係性と接点を持ちやすくなる」という山本の言葉から、人や人の気配は今のところ彼女にとって必要不可欠であり、人を介在させることによって、目の前の世界に触れようとしているように思える。彼女にとって人とは、他者であり自分でもあるのだろうが、人への思いを、描くという行為によって何かに定着させたいという思いと、立ち上がってきた世界が正しいものだろうかという迷いとがせめぎ合って、画面はざわめいている。そのざわめきの中に見え隠れするおぼつかなさこそが、彼女のリアルではないだろうか。

油絵学科教授 小林孝亘