伊藤誠一朗

Ito Seiichiro

ある光Ⅱ
CERTAIN RAY Ⅱ

パフォーマンス|石膏、銀箔、タトゥーシール、エナメル、スモーク、プロジェクタ、ほか
Performance art | Plaster, silver leaf, temporary tattoo, enamel, fog machine, projector, other
12分03秒、インスタレーション可変

作者より

閉ざされた回路の先にある完璧な身体
濃い倦怠
野蛮なエレガンス
海女たちと青年
/
親密な関係でしかなされない秘密の共有とその記憶の装い
確かに君は僕の前に存在していた
うつむいたままに
/
問えば失われてしまうその意味は
欲求に丁寧に、荒々しく、かたちをつける
かたちにならないなにかを信じてみたい
/
全部光のいたずらだよ、そう言って君はまた目を閉じた

伊藤誠一朗

担当教員より

私たちは、二酸化炭素大排出の影響下にある地球という薄いたまごの殻の上を、迷走している。
大人たちは、様々なレベルにある政治、経済、社会の競争の中で倫理的、人道的、環境的な正しさなど、白と黒を分けようとしているように思う。
そして、そうすることによって失ってしまう感覚、文化も多いことに気が付きながらも、迷走を続けている。
一方、次世代の課題を解決していく若者たちは、この迷走の中で、彼ら自身、生きるということ、命の危機を感じている。
性的アイデンティティ、政治的アイデンティティ、パワー、ステータス、そして愛。
伊藤誠一朗の作品は、人の本質的な感情を表現することによって、広い視野と、多様性の潜在力を私たちに見せた。
黒でも白でもあり得る表現が展開できるグレーゾーンを、彼らに用意することが私たち大人にできるのだろうか。

空間演出デザイン学科教授 Patrick Kevin Ryan