小笠原華那

Ogasawara Kana

anitya
impalpably

インスタレーション|ステンレス、ピアノ線、紙
Installation art | Stainless, piano wire, paper
サイズ可変(H900~3000mm/直径300~600mm)

作者より

日本の美意識の中には無常観が根付いている様に思う。それは散りゆく桜や、流れ落ちる滝の水を見て、多くの人が美しいと感じる感覚のことである。
無常、とは あらゆるものは、その姿のままで存在し続けるという事は無いが、時間の流れの中で少しづつ改変しながら連鎖し、存在し続けるということである。
この作品たちは、変化の感じ取りにくい場所に居ながらも、風というものを通して自然の中の流れを感じ、日本的な美意識を見つめなおす為のものだ。羽の高さ、位置、そして時間が変化すれば、これらは変化を繰り返す。風が無くて動かない時も、雨に打たれる時も、これらは状況を如実に表し、私たちにanitya/無常観を思い出させる。

小笠原華那

担当教員より

このテーマに行き着くまで小笠原華那は随分と想い悩む時間を過ごしていた。好きで興味を持ち続けた「和」の文脈から完成されたモチーフを再構築するという難題を選び挑み続けるが、納得できる解答を引き出すことは叶わず何度も悔しさを噛みしめた。ある時、何気ない自然の様相に目を留める。そう簡単に思い通りにはならない。意図的にはいかない中であっても、今まで培ってきたものを糧にコツコツと静かにやり遂げた。そして、無常「常にそのままで無い」の姿は微かに確かに現れていた。「苦」を「好」の情熱で乗り越え、生み出された作品。

空間演出デザイン学科教授 五十嵐久枝