井門琴音/坂本彩音

Imon Kotone / Sakamoto Ayane

ほころびを溶かす
Hokorobi wo tokasu

演劇|木、鉄、アクリル
Play | Wood, iron, acrylic
H4800 × W4800 × D2800mm

作者より

大切だった、ゆっくりとした時間を思い出す。
ランプの光、朝日、パンの焼ける音、花に水をあげて滴が太陽を反射した光、おじいちゃんの目の色の青、アイスティーの鼈甲色、駅の光、泡の虹色、おばあちゃんの後ろ姿、17時半のチャイム、夕焼けのオレンジ
月日が作り上げた時間。そこにあり続ける気配。たとえなくなってしまっても思い出は消えない。空間に流れる時間に記憶が染みついて忘れることはない。

井門琴音/坂本彩音

担当教員より

‥僕は、この小さな舞台を、縁側で雨の止んだあと、水滴で裏返る落ち葉をじっと見つめるような子供だったことを思い起こしながら観ていた、、もうこれ以上咲くことのない窓辺に吊るされたミナヅキの花の色や、藤棚の下で休んでいる行商のおばさんと話す祖母の声、母が台所で少し焼け過ぎた食パンの焦げをシャカシャカと削ぎ落とす朝の音、二才離れた姉が階段を急いで降りる後ろ姿、、何だか、さりげない言葉、風で吹き飛ばされそうな物たちだったのに、きっと忘れることのない思い出の中に、そっと入り込んで来てしまった二人からの贈り物でした。

空間演出デザイン学科教授 小竹信節