井下紗希

ISHITA Saki

這う
crawl

知る
realize

漲る
swell

キャンバス、油絵具
Canvas, oil paint
各H2590 × W1940mm

untitled

キャンバス、油絵具
Canvas, oil paint
H790 × W820mm
H727 × W606mm
H640 × W730mm

作者より

思春期の絶望や葛藤を経て生きてきた自分自身を描きました。

井下紗希

担当教員より

植物たちは陽を求めて天に向かって伸びる。そこに地面は描かれていないが、地に根をしっかりと下ろし生きている植物たちのあり様が力強く大画面に表現されている。井下は植物をモチーフとして制作を展開してきた。時々の感覚と感情に揺られながら、植物は人となり名付けられないものとなって表現されてきたのである。ほの暗い灰色の空間の中で、植物は色の輝きを放つ。画面全体を覆う形容し難い色と絵の具の表情が醸し出す湿度と温度は、植物のそれであり空間のそれである。灰色と色彩は死と生を暗示する。植物とは何か。命とは何か。その不思議さ、愛おしさ、怖さ、不気味さ、その謎。井下の作品は私たちに命の意味を静かに強く問うてくる。そして見ることのできない大切なものがあることを気づかせてくれるのだ。

油絵学科教授 樺山祐和