オウ シュン

WANG Xun

HAPPY END

実写映画|60分10秒

作者より

コロナの濃厚接触者になるも感染を免れ、神の力と勘違いし、怪しげな教会に通って神の存在を自身で確かめようとした美大生林樹(20)。
兄がコロナで急死したのをきっかけに死の恐怖に陥り、家族の関係も崩れてしまった杉本隆(65)。
父親がコロナに感染し自宅で自粛している間に、感染していなかったはずの母親の容体が急変して病院に運ばれるのを目の当たりにする野原悠人(10)。
コロナで生活が大きく変わってしまった3人は、それぞれの理由で教会に行き着き、最後は一緒に車でオリンピックの開会式の花火を見に行くことになった。その途中、3人は死について話し合うが誰も答えを出せぬまま、やがて花火が打ち上げられるのだった。

オウ シュン

担当教員より

コロナ禍が人々の日常に突きつけたものは何か。悪運から神の存在を確かめようと迷走する美大生、死に怯え家族の崩壊を招く老人、家庭内で社会的距離を強いられる小学生、幸福そうに見えた3つの世帯に潜む人間関係の歪みが露呈する中、夜空にはオリンピックの開会を告げる花火が打ち上がる。
異国日本の社会的背景を踏まえて冷静に人間観察し、役者の本領を引き出す独自の演出、撮影技量とチームワークで緻密なドラマを構築した。

映像学科教授 小口詩子