岡村あい子

OKAMURA Aiko

献花
mourn

手書きアニメーション|プロジェクタ、暗幕
2分50秒

思い耽る
brood

手書きアニメーション|プロジェクタ、暗幕
1分40秒

作者より

密な描写、繊細な動き、臨場感のある音にこだわった手書きのショートアニメーション。
「献花」は自分らしさを失くした人への弔いを「思い耽る」は世界に置き去りにされる無力感を、モチーフにしている。

岡村あい子

担当教員より

岡村による、手描きのショートアニメーションを初めて目にしたのは、油絵専攻2年 進級制作展でのことだったと思う。
コンビニの前にぺたんと座り込んだ女性をモチーフに、気配が通過する様子を描いたアニメーション作品は、直感的に都市空間における人々の孤独に思いを至らせるものだった。
以降、アニメーションの制作を重ねるにつれ、技術が向上しても、制作の初期衝動としてあった「気配」と「孤独」は岡村の重要なキーワードであり続けていたようだ。
彼女の作品は、何が描かれているのか誰もが判別できるという点で、全ての鑑賞者に開かれている一方で、意外な深みがある。どの作品にも通底している不穏さをどう理解したら良いのだろう。

岡村はいう。「生きながらにして、自分らしく生きることができず、死んでいる人は、おそらくすぐ隣にいる。」

声無き声への繊細な洞察力と、絵画から映像へ展開した挑戦の果敢さが多くの期待を集めて、満場一致の受賞に至った。

油絵学科教授 諏訪敦