キム ジウォン

KIM Jiwon

Woman

インスタレーション|韓紙、刺繍、水彩絵具、パステル、タブレット

The Making of a WOMAN

サイズ可変[映像|3分11秒を含む]

作者より

違和感を感じる対象から美しさを見つける矛盾した態度と、その過程の中で生まれる感情は私の作品における重要な題材だ。
私は作品を通じて美しさの基準に対して疑問を投げかけると同時に、「人」が感じる複雑で微妙な感情を「人」を描くことを通じて表現する。

キム ジウォン

担当教員より

キム ジウォンは、自身が抱えている身体に対してのコンプレックスをきっかけにして、人間の美しさについての考察から、表層を描くことでどうすれば内面も含めて人間を描くことができるのかということを試行錯誤してきた。制作を続けるうちに、一般的な美しさの概念で見て感じていた身体を次第に何の先入観もなく見て感じられるようになっていった。今までは醜いと感じていたものにも美しさを感じるようになり、ありのままの存在として自分を受け入れることができるようになったという。
卒業制作は、韓国の手漉き紙、韓紙をつなぎ合わせた3×7メートルの大画面に描かれている。全体にピンクから赤のトーンの中に、木炭で描かれたいくつもの身体の線が重なり絡み合いながら、所々にくっきりと現れる乳房や陰毛が画面を引き締めている。紙のつなぎ目がずれて切れ目のように見える部分は糸で縫い合わされている。沢山の人というよりも、変わった形の身体がひとつになって息づいている。ドローイングによって抽出された身体の線は、他の線に呼応して新たな形として現れてくる。具象とも抽象とも思える形は独特で美しい。水彩の下地に木炭とパステルを使って指で刷り込むように描かれた画面は、縫い合わせた糸の表情も加わり、キャンバスに油彩で描いたものに比べて生々しく感じる。それは、今現在の彼女のリアルな感覚だと感じるが、絵の前に立つと様々に思いが巡り、人間とはなんだろうと考えさせられる。これからどのように表現が変化していくのか、見続けていきたいと思う。

油絵学科教授 小林孝亘