的野仁紀

MATONO Hiroki

先生
sensei

保証書
warranty

紙、鉄、綿、テープ、ペンキ、ほか
H1000 × W500mm、H3775 × W7000mm

作者より

方法や量が質を変えることに動機があると思う。
個人的な事実を図面に起こしたとき別の風景に映るなら、なかったことになった事実を取り戻せると思った。

的野仁紀

担当教員より

的野は絵画について考察しながら様々な素材を用い数多くの作品を描いてきた。
美術の世界で描くといえば当然のように絵を描くことを思い浮かべるだろう。しかし彼にとっての絵画とは「絵」を描くという感覚よりも、「図」を描くことにきわめて近いように思われる。絵が現実の世界を頼りに作家や観客の主観性によってイメージを作り上げるものだとしたら、図は主観的なものではなく厳密に必要な情報だけを抜きとり伝えることに他ならない。例えれば球体の地球を表すのにはいくつもの異なる図法による世界地図が存在するように、厳密な方法論だけが必要な情報を抜き出すことができるのである。図法を駆使して描かれた的野の作品は極力主観性を排しながら新たな絵画の地平を切り開くかもしれない。

油絵学科教授 丸山直文