藤原彩芽

FUJIWARA Ayame

ズンズン青年~お散歩日和~

ふわふわ青年~森の船~

シナベニヤ、油絵具
H2640 × W1700mm、H1650 × W2640mm

作者より

・絵が動くのを眺めるように描いた。
・一つのイメージで描かないようにした。
・「枠を作ったのは誰なのか」という点は私の描きたいことには大事なことだと思う。
・変形の絵の制約に対応するよりも絵で制約を壊したいと思うようになった。

藤原彩芽

担当教員より

藤原彩芽の絵画の特徴のひとつは、キャンバスの有機的とも言える形状にある。波打つような曲線をもつ画面に呼応するように自身のイメージを紡いできた。日々、生活の中で生じた感覚と感情によって形作られた記憶が、強烈な色彩と柔軟な形態によって、弾けるように表現されている。画面に充満するように描きこまれた人や物はキャンバスそのものの形状に、時に同調し対立し動と静のリズムを生じながら、見る者の視線は画面の内部を動き回ることになる。そして大胆で力強い構成が求心と拡散を同時に成立させ、絵画空間は画面の外へ大きな広がりをもつのである。全体と細部、連続と停止、補色の対比、現実とイメージ、自然と人工、感情と思考、安らぎと攻撃といったアンビバレンツな性質を一つのイメージの中で強く対立させることによって調和を作り出している。一見賑やかな様相は現代社会のスピードや喧騒や狂騒を思わせる一方で、現代に生きる人間が抱える刹那さや孤独感、愛情とユーモア、あるいは世界の不思議、謎といったものを漂わせてもいる。そのような複雑な様相が藤原絵画の魅力である。藤原は表現する行為や描く対象の意味を難しく考えようとはしない。至って単純に思考する。それは描くことが特別なことではなく、それ無くして自身の生活が成立しないことを当たり前のことのように受け止めているからである。いまは考えずとも、溢れる出る泉のように表出されるイメージは、自由で柔らかく新鮮である。

油絵学科教授 樺山祐和