熊文丁

XIONG Wending

断章取義の快楽

ライブ現場よりも、ドアの外で失真した音楽に身を置きたい

阿呆船

Claudia, Wilhem R. and me

無題

インスタレーション|キャンバス、木炭、オイル、油絵具、インク、アクリルメディウム、スプレー、アクリル絵具
H1620 × W1120mm、H1620 × W1140mm、H1620 × W1120mm、H2050 × W1830mm、H455 × W380mm

作者より

君君たらず、臣臣たらず、父父たらず、子子たらず。本質が本質でない、メロディーの消滅、存在と複数の歴史がパスタのように入り混じり、身体の惰性から離れてみると、経験は記憶に、記憶は抽象的なものに変質する、目の前の世界も同様に抽象化する。そして、臓器が振動を始め、骨が伸び、脂肪は電源のないところで溶け出す。点滅する赤信号のような冷たい視線を感じながら、内蔵に住む鳥たちは合唱する。その後、身体は空間の約束を守り、アナキストから本来のポジションに戻る。これは一文字を何度も書き続けるような感覚で、何度も書き続けると、突然その文字に対して見慣れない感じがする。

熊文丁

担当教員より

壁面を横断するように何本も貼られた黒いテープは、時に重なり合い、時に離れながらも、3点の黒い平面作品に非常に強い緊張感と連続性を与え、まるで壁面それ自体が巨大な絵画作品であるかのような感覚を呼び起こす。

この一年、多種多様な表現に挑み続けてきたユウさんにとって、
大きな転機となったのがこれら「黒い絵画」だった。
彼自身に起因する絵画の衝動性と真摯に向き合うために、おそらく「黒」は最適解であったのだろう。

硬めの木炭を乳鉢で擦りながら、溶剤との組み合わせに時に悩み、試行錯誤しつつも、そのチャレンジは見事に結実したように思える。

油絵学科教授 町田久美