寺町美代子(美代マチ子)

Teramachi Miyoko (Miyo Machiko)

書店漫画を通して見る エンタメと非エンタメ
Entertainment and non-entertainment to watch through bookstore comics

漫画冊子|紙、インク
Comics|Paper, ink
H257 × W182mm × 3点、H182 × W128mm × 3点

作者より

ドラマ、映画、漫画、アニメのような「エンターテイメント」と呼ばれるものの脚本には共通して「人の心を動かす法則」がある。「ぶっきんぐ!!」は主人公かの子が持ち前の根性と絵の才能を生かして光林堂を立て直していく話だ。
この作品のモデルとなった光進堂という書店は私が大学2年生の夏に閉店した。

「地元の小さな書店が潰れた」という一つの事実を元に、エンタメ作品として昇華させた「ぶっきんぐ!!」と、お店と私の関係をありのまま描いた「光進堂メランコリー」という二つの物語が生まれた。

寺町美代子(美代マチ子)

担当教員より

寺町さんの作品は自分が幼い頃から通い、アルバイトもしていた近所の書店が経営難で閉じたという経験をもとに描いた2冊の漫画『ぶっきんぐ!!』と『光進堂メランコリー』から成る。一方はあくまでもエンターテインメントを目指し、本年1月に実際に出版されたものであり、もう一冊はリアルな経験を綴ったいわば「私小説的」なものだ。彼女はこの二つを通して自らにとって漫画を描くとはどういうことか(現実の経験と表現までの距離)を問う実験的な試みを行った。この野心的な試みが可能になったのは彼女の筆力、努力も勿論あるが、現実の出来事に対する彼女の持つ繊細で豊かな感受性あってのものだろうと思う。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策