山市彩

Yamaichi Aya

日本のかみ
Japanese paper

本|和紙
Book|Japanese paper (Washi)
H265 × W380mm、H210 × W210mm × 2点

和紙タペストリー|和紙
Japanese paper (Washi) tapestry|Japanese paper (Washi)
H2700 × W1800mm

壁面ディスプレイ|植物
Wall display|Dried plant
H2500 × W3600mm

作者より

和紙とは何か。寿岳文章著「紙漉村旅日記」を参考に和紙の産地を巡り、実際に紙を漉いた。その日々の記録と経験から、和紙とは何か自分なりに考えた。清らかな水を用い、植物から作られる和紙。日本の自然と人々の文化をつなぐ、いわば素材という名の「間」な訳だが、実はそれ自体がとても美しい。そのことを知ってもらうために自分で漉いた紙自体を作品とした。日本の紙とは。日本の美とは。私の気づきとこれからの挑戦、そのはじめの一歩である。

山市彩

担当教員より

山市さんは以前から書物の形や構造に興味を持ち、特に和本の歴史について相当な知識と実践的な造本経験を積んでいた。その上での彼女のテーマは「和紙」であった。普通、表現とは媒体(例えば和紙)の上に展開されるものであり、媒体はいわば黒子である。しかし彼女は今回徹底的にその媒体に向き合った。寿岳の『紙漉村旅日記』さながら可能な限り日本の紙里を巡り、漉き、記録した。また本来美術大学においてこそ、学生自ら紙を漉くべきと考え実行した。恐らく彼女のこの情熱の背後には現代デザインの状況への鋭く深い批評があった。しかし彼女は声高にそれを語らず、見るものに紙という自然と人との美しい関係を提示するのみである。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策