濱元拓

Hamamoto Taku

眼とモルフェー
Eyes and Morphe

インスタレーション|プログラミング、プロジェクション|ディスプレイ、プロジェクタ、PC
Installation art|Programming, projection|Display monitor, projector, PC
H2300 × W4000 × D4000mm

プロジェクション
Projection
H910 × W1500 × D1800mm

アニメーション
Animation
H270 × W470mm × 5点

作者より

この作品はジェームズ・ギブソンの視覚論をベースにしている。彼の著書『生態学的視覚論』に「眼が抽出するのは形態ではなくて連続的な変形なのだ」という言葉が出てくる。この作品は、彼のこの発想を見る人に経験させる為の作品である。作品の中では要素がランダムに配置されているが、要素の動きには規則性がある。人の眼は規則によって生じる形を知覚する。私たちは刺激自体を見ているのではなく、刺激の関係から生じるパターンの連続を見ている。

濱元拓

担当教員より

濱元君の主題はずっと一貫していた。それは私たちの視覚的経験とは何か、その根本的な原理を突き止める事であった。その過程の中で彼はC.S.パースの『現象学』や、J.ギブソンの『生態学的視覚論』などを読み込んできた。彼が現時点で導き出した結論は「情報は各要素が生む個別の刺激ではなく、その刺激の関係から生じている。私たちは刺激自体を見ているのではなく、刺激の関係から生じるパターンの連続を見ている」というものであった。彼の作品が素晴らしいのはその理屈をシンプルで鮮やかな視覚経験に置き換えて見せてくれた事である。私たちは流動の中にかたちを見、流動が止まればそれを見失う。彼はそれを世界の比喩だと述べている。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策