伊林和香

IBAYASHI Nodoka

分類の分類―図が伝える世界への眼差し―
Classification of Classification : The gaze of the world as communicated by diagrams

紙、コンピュータ
年表|H1500 × W5320mm、H800 × W5320mm
本|H297 × W210mm(284ページ)
思考ツール|H516 × W650mm(モニタサイズ)

作者より

分類は私たちの思考における普遍的な過程であり、個々が世界を捉える視線の表れであると考える。
かつて、人はどのように社会を捉え、どんな視覚表現で伝えてきたのか。そして現在の私たちはどう社会を捉え記述していくべきなのか。
分類という人の思考や論理とそれを視覚的に表現する図の関係において、過去の事例を探究し年表と本に編集した。
一方で、分類対象が複雑化し、様々なメディアがある現在、その関係は動的な、多くの人が扱えるものであるべきだと考え、図を生成するツールを提示する。

伊林和香

担当教員より

作者は4年間を通じて曖昧な事象を視覚化することにこだわりを持ち続けてきたが、本作でその蓄積が結晶化されたと言える。人類が生み出してきた分類思想の潮流を位置付けた年表。80点にのぼる古今東西の図を翻訳し、自らの解釈によって図解した書物。作図によって思考を後押しすることを示したアプリケーション。いずれも質・量ともに優れたものだが、その裏にある作者のメッセージは、思考によって図が生まれ図によって思考が育まれる、視覚化がもたらす知の往還である。対象を捉え、分解し、カテゴライズし、図を通して推論を重ね、結論を導出する。そうした知のサイクルを3つのメディアを通して豊かに伝えてくれている。学部の卒業制作というレベルを超えた大変素晴らしい研究成果となった。

視覚伝達デザイン学科教授 中野豪雄